日本防炎協会

わたくし達のくらしと防炎品

わたくし達のくらしと防炎品

類焼を防いだ住宅の防炎カーテン

(防炎ニュースNo.135掲載)唐津・東松浦広域市町村圏組合消防本部

1.火災の原因

当該消防本部管内で専用住宅が全焼1棟、部分焼2棟(外壁等の焼損)という火災が発生した。出火建物の家人が、てんぷらを揚げるため、油を鍋に入れてコンロの火をつけ、温まるまで庭の手入れをしようとその場を離れている間に、てんぷら油が過熱し火災となったもの。

2.防炎カーテンの奏効内容

出火建物(木造二階建)から吹き出た炎は、約1.75m離れた隣の木造二階建住宅にも達したが、外壁が防火構造であったことと、外壁の開口部(横2.0m×縦1.3m)のガラス戸に防炎カーテンが設置され、このカーテンが閉めてあったことで外部からの炎を遮断し、建物内部への類焼を免れた事例である。

3.効果要因

本事例は、厚地の防炎カーテンが炎を遮断し、建物内部への類焼を防いだ事例である。火災後の調査の結果、もし今回、普通のカーテンが取り付けてあったならば、出火建物から吹き出た炎は火災熱により割れたガラス戸から容易に本事例建物へと延焼拡大し、被害をさらに大きくしたであろうと推測される。


出火建物から出た火は隣家の外壁に達した

開口部から入りこんだ炎は防炎カーテンを焦がしたのみ

室内に入ってくる炎を遮断した防炎カーテン

(防炎ニュースNo.134掲載)蓮田市消防本部

当該消防本部管内の入院ベッド数19床の外科医院で火災が発生した。

1.火災要因


延焼をまぬかれた火災現場

病気を苦にしていた入院患者が、各ベッドの仕切りとなっているカーテンを床頭台の引き出しに束ねて、私物とともにライターで雑誌に放火した。
巡回していた看護婦が、その入院患者の言動に不審を覚え、ナースステーションに通報した。前看護婦が駆けつけると、窓際のベッドの床頭台付近が約1m燃えているのを発見。仕切りカーテンは溶解するように焦げ始めていた。床頭台の物品は全損し、テレビのプラスティック類にも焼損があった。
発生とともに、院内に煙が立ち込め、自動火災報知設備も作動し、看護婦は消火器3本を使用して消火を図った。そこで、入院患者は看護婦の適切な判断で避難を開始した。


2.防炎カーテンの効果

当医院は、防炎防火対象物であるため全部のカーテンが防炎カーテンのため、床頭台の内容物は全損したが、カーテンは延焼拡大せず少量の焦げが見られる程度であった。

3.効果要因

本事例は早期発見であり、建物まで延焼せず床頭台の一部とカーテンのみの焼損である。しかしカーテンが非防炎であったならば、一気に建物全体に延焼拡大したものと思われる。また、他の入院患者がパニック状態になり二次的災害も考えられた。
防火管理者は、医院としての特殊性から防火に対しての研修会等積極的に参加し、職員に災害予防の啓蒙を図っている。また、法に基づく訓練を年2回実施して、全職員が災害予防に万全を期している。本火災においても、早期対応(早期発見、初期消火並びに避難誘導)が適切に行われ、通常の訓練が実を結んだ結果である。そしてまた、防炎カーテンの重要性が再認識された火災事例であった。

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